因果の法則とは何か?

因果の規則(業の規則)

因果の法則をご存知ですか? 因果法則とか、業の規則、原因と結果の法則とも言われています。誰もが知っている法則ですが、因果の規則をよく理解して生きることの恩恵は計り知れないものがあります。
 

因果の法則とは?

因果の法則をわかりやすく言えば原因と結果の法則のことです。過去に作った何らかの原因のために、未来の結果は決まるという法則性です。

みなさんも自分の人生を振り返ってみるとあの時にあの様な行動をしたから今の会社に就職したとか、あの時にあの場所に行ったことで今の奥さんと知り合えたとか、あの時に助けた人のおかげで、今はその人に助けられているというようなことが思い当たるかもしれません。

この因果の法則(業の規則)は自然の法則と言ってもいいです。全く自然なことであり、現実はそのように動いています。今は未来の原因であり、過去の結果です。今あなたが何をするかで未来は少しずつ変化していきます。過去を変えることはできませんが未来を変えることができるのはそのためです。

なぜ因果の法則と道徳は一緒に考える必要があるのか?

こんなこと今更言われなくても当たり前だと思われる方がほとんどだと思います。しかし、因果の法則に注意して生きている人はそんなに多くありません。

この因果の法則はある意味においてはとても恐ろしいことかもしれません。自分がやったことがその通りの結果として現れるということは、今現在作り続けている原因に注意を払わないと、その結果はとんでもないことになる可能性があるということです。

ですからこの因果の法則と道徳は一緒に考える必要があります。善い行いをすれば良い結果がありますし、悪い行いをすれば悪い結果になります。なぜ悪い行いをしてはいけないかと言うと、悪い行いをしたことによる結果が因果の規則(業)によって自分にいずれ降りかかってくるからです。

ちなみに道徳とは何かについてはこちらの記事をご覧ください。→五戒(五つの道徳)について

そう考えると悪いことをすることが恐ろしくてできなくなります。逆に善い行いはもっと積極的にやろうという気持ちになります。実際に私がこのことを意識的に生き始めてから、悪い行いからはどんどん離れて行き、善い行いを積極的にするようになりました。またその結果が善い結果なので、ますます善い行いをするようになりました。

そうやって善を積んでいくと人生はどんどん好転していきます。良縁も強くなり周りに善い人が集まってきますし、善いことが行いやすい環境も整ってくるのです。

例えばあなたが船長だとして、船の舵をほんの少し右に切れば、船は少しずつ右へと向かっていきます。最初はほとんど航路に変化はありませんが、そのまままっすぐ進めば最初の地点からかなり右へと到達します。

それと同じように私たちの人生も善い行いをし続ければ、最初は効果をあまり感じられないかもしれませんが、それが積もり積もってやがて結果として実るときが訪れるのです。

当然、逆のこともあります。悪い行いをすると悪い結果になり、悪い行いが深くなっていくと、悪縁も強くなりますから、悪い人たちや悪事を行いやすい環境になってしまうのです。

そこからまた悪い行いが行いやすくなり、そうやって悪い環境や状況が強化されていくと、なかなか善い環境や状況に変えていくのが難しくなってしまうのです。

憎まれっ子世にはばかる!?

この因果の規則が信じられないという人もいるかもしれません。「憎まれっ子世にはばかる」ということわざもあるくらいです。確かに悪いことをしてお金を儲けて贅沢三昧をしているような人もいるかもしれませんね。しかしそのような人の心がいつも平安であるかはわかりません。

しかもその罪は今世だけに止まりません。来世以降にもその返済が終わるまでずっとついてまわります。因果の規則の前では生き物は全く平等です。等しく裁かれ次へと向かいます。そもそも私たちが生まれた環境や状況も、それ以前の因果の規則(業)の結果です。また今世の原因が来世の結果になるのです。

光と闇のどちらに生きるか?

ブッダはこのことを光と闇という言葉を使って次の4通りの人があると言いました。
闇から闇へと生きる人。
光から闇へと生きる人。
闇から光へと生きる人。
光から光へと生きる人。

過去の状況は変えられませんし、生まれ持った特質や環境を変えることはできません。今いるその場所が闇であっても、光であっても光へと進む人生を歩みたいですね。

因果の規則と子どもへの道徳教育

それから、子どもにどうして悪いことをしてはいけないのかを教えるときにこの因果の規則は役に立ちます。悪いことをすれば自分に悪い結果が起こり、善いことをすれば自分に良い結果が起こると教えます。そこから善悪を教えていくと子どもを善い人生へと導いていくことができます。因果の規則を教えることはお金や裕福な暮らしよりもずっとその子の人生に恩恵を与えてくれるでしょう。

因果の規則を終わらせるには?

余談になりますがこの因果の規則(業の規則)にも終わりがあります。現在に原因を作らなければもうその結果はありません。つまり全ての前世も含めて過去に作った原因が全て結果になればそれでもう終わりです。そして全ての清算が終わり、純粋な意識になれば、もう輪廻に戻ることはありません。それが涅槃です。だから出家者は俗世から離れていきます。余計な原因を作らないためです。

このことは文章で読んでもあまりよくわからないかもしれませんが、ヴィパッサナー瞑想を続けていくとこの意味もよく体験によって理解できるようになります。